太宰治の言葉・名言・格言15選!ネガティブ文豪の持っている自信は何?

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太宰治(だざいおさむ)の人生は波乱万丈です。
思想活動に参加し、その後自殺未遂などを繰り返す人生は、お手本にはできません。
けれどその内面には感受性の強さ・繊細さがあり、弱い人間に対する優しさがあります。
太宰の作品の読者は心を揺さぶられたり、さらには自分の心を覗かれているような気さえします。

今回は太宰治の残した言葉・名言をまとめ、コメント付きで紹介していきます。

※旧仮名づかい・難しい漢字などを、読みやすいように直しています。

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太宰治のプロフィール

〇氏名:太宰 治 (だざい おさむ)
〇本名:津島 修治(つしま しゅうじ)
〇生年月日:1909年(明治42年)6月19日
〇没年月日:1948年(昭和23年)6月13日
〇享年:38歳
〇代表作:「走れメロス」「人間失格」「斜陽」

太宰治の言葉・名言・格言

「夏」の名言 -ふいに終わるもの

夏のイメージを現わす女性のシルエット。麦わら帽子・花火・青空

秋は、ずるい悪魔だ。夏のうちに全部、身支度をととのえて、せせら笑ってしゃがんでいる。(ア、秋)

捨テラレタ海。(ア、秋)

夏の花が好きなひとは、夏に死ぬっていうけれども、本当かしら(斜陽)

を感じさせる言葉について集めてみました。
けれどもここにあるのは、「夏が終わること」についての文章です。
夏の盛りのギラギラとした感じよりも、エネルギーを使い切り、ふいに終わる夏のイメージを捉えています。

「時」の名言 -ただ過ぎていくもの

本を手に持つ女性。ブルーグレーの森林に光が射す。

昨年は、何も無かった。
一昨年は、何も無かった。
その前のとしも、何も無かった。
(斜陽)

ただ、いっさいは過ぎて行きます。
自分がいままで阿鼻叫喚で生きて来たいわゆる「人間」の世界において、たった一つ、真理らしく思われたのは、それだけでした。(人間失格)

時に関しても、ただ終わっていく・過ぎていく、ということが書かれています。
太宰治の作品がネガティブと言われるのはこのような特徴があるからでしょう。ただ、その中にあるわずかな希望優しさをもって書こうとしている面もあります。

明日もまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。それは、わかっている。けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう。(女生徒)

年月は、人間の救いである。
忘卻は、人間の救いである。
(お伽草子)

「世間」の名言-優しくしてください

ソーシャルメディアの項目を開いてあるスマートフォン

身もふたもない言いかた。そんな言いかたを体得して、弱いしどろもどろの人を切りまくってこころよしとしている人が、日本にも、ずいぶんたくさん在る。(ラロシフコー)

私は、馬鹿正直に信じる。ロマンチシズムに拠って、夢の力に拠って、難関を突破しようと気構えている時、よせ、よせ、帯がほどけているじゃないか等と人の悪い忠告は、言うもので無い。(かすかな声)

世間や対人関係についての言葉です。
『ラロシフコー』の文章は、「論破」ということに注目が集まっている最近の状況と結びつくものがありませんか?
論破する側とは逆の、弱い人間に対しての同調が見られます。
そして、自分を変えようとしても、少しの忠告で動揺してしまう、そんな人間の心の弱さについても書かれています。

「自分」の名言-何も持っていない

夕日を見つめる若い女性の後ろ姿。ピンクから青に変わる時。

Kは、僕の強さを信じている。僕の才を買いかぶっている。そうして、僕の努力を、ひとしれぬ馬鹿な努力を、ごぞんじないのだ。らっきょうの皮を、むいてむいて、しんまでむいて、何もない。きっとある、何かある、それを信じて、また、べつの、らっきょうの皮を、むいて、むいて、何もない、この猿のかなしみ、わかる?(秋風記)

僕は、僕という草は、この世の空気との中に、生きにくいんです。生きて行くのに、どこか一つ欠けているんです。足りないんです。いままで、生きて来たのも、これでも、精一ぱいだったのです。(斜陽)

太宰治の文学は、「青年時代に夢中になって太宰の作品を読む時期があるけれど、大人になるといつの間にかその熱が冷める。それは、はしかにも似ている」という考え方から、「青春のはしか」とも言われるそうです。
その傾向が事実かは個人によるとは思いますが、太宰治のこの「自分自身には中身がない」という自信の無さは、自分がまだ何も出来ていない、さらに、何が出来るかさえわからない、という青春時代と繋がるのだと思います。

青春は人生の花だというが、また一面、焦燥、孤独の地獄である。(困惑の弁)

「花」の名言 -自信の無さを花開かせたい

一輪の青い花

私たちは、当分、自信の無さから、のがれる事は出来ません。誰の顏を見ても、みんな卑屈です。私たちは、この「自信の無さ」を大事にしたいと思います。卑屈の克服からでは無しに、卑屈の素直な肯定の中から、前例の無い見事な花の咲くことを、私は祈念しています。(自信の無さ)

自分には何かが足りない、または、自分には何もない、と思っている太宰が、唯一自信を持って言えること、それは「自分は自信が持てない人間である」ということでした。
太宰治はその感情を大事にして、花を生み出すことを語っています。
それは弱い部分を持つ人間の哀しさや美しさを描き出すことに繋がるからです。

ぽかんと花を眺めながら、人間も、本当によいところがある、と思った。花の美しさを見つけたのは、人間だし、花を愛するのも人間だもの。(女生徒)

まとめ

今回は、太宰治の言葉を「自信のなさ」という部分を中心に集めてみました。
太宰治は自信のなさを語る人間です。ただ、それは誰の心にもあるもので、太宰治はそれに寄り添いそこから新しい美を作りたいと思っていました。

それでは、この記事の最後も太宰治の言葉で締めます。

ばかに、威張ったような事ばかり言って、すみませんでした。(一問一答)

本のイメージ

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