宮沢賢治『どんぐりと山猫』のあらすじをネタバレ有で最後までご紹介します

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今回は宮沢賢治の『どんぐりと山猫』について、基本情報・登場人物や冒頭文紹介をした後、あらすじをご紹介します。
あらすじは「簡単なもの(256字)」とイメージ画像を多めにつけた「お話として読める要約」2種になっています。どちらもネタバレ有になりますのでご注意ください。

いろいろな事情があってあらすじをすぐ知りたい」という方のご参考になればと思っています!

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基本情報

PM てのひら図書館シール 【どんぐりと山猫】

作者について

宮沢賢治

1896年8月27日 – 1933年9月21日(享年37歳) 岩手県花巻市出身
日本の詩人、童話作家。仏教(法華経)信仰と農民生活に根ざした創作を行った。彼の作品は生前ほとんど一般には知られず無名に近く、没後、草野心平らの尽力により作品群が広く知られ、世評が急速に高まり国民的作家となっていき、今でも日本には広く愛好者が存在する。
Wikipediaより抜粋

『どんぐりと山猫』情報

初出「イーハトヴ童話 注文の多い料理店」(1924年)盛岡市杜陵出版部・東京光原社
※賢治の生前に刊行された本は、詩集『春と修羅』と、この童話集のみ
ページ数 14ページ
(AmazonのKindle青空文庫版による)

登場人物

  • かねた一郎……主人公の男の子。尋常小学校の3~4年ぐらい。
  • 山猫……裁判長。陣羽織や黒い長い繻子の服を着て堂々とした紳士風の猫。
  • 馬車別当…山猫の部下。馬車を運転する係。奇体な片眼の男。
  • どんぐり達…赤いズボンを履いた金色のどんぐり。自分は偉いと思いたい。

冒頭文

おかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。
 かねた一郎さま 九月十九日
 あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。
 あした、めんどなさいばんしますから、おいで
 んなさい。とびどぐもたないでくなさい。
           山ねこ 拝

簡単なあらすじ

それではまずは簡単なあらすじです。

どんぐりのシルエット

おかしなはがきが一郎のもとに届きました。山猫からで、内容は明日の裁判の招待でした。
翌朝一郎は山に向かいます。
黄金色に輝くどんぐり達の裁判が始まりました。山猫が裁判長です。どんぐりは「自分が一番えらい」と言い合います。山猫が意見を求めたので、一郎は「このなかでいちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、いちばんえらいんです」と答えました。それを山猫が伝えると、どんぐり達は黙ってしまいました。
一郎はお礼に一升分の金色のどんぐりを貰いました。家に帰るとそれは普通の茶色のどんぐりになっていました。(256字)

詳しいあらすじ

それでは次に、イメージ画像を挟みながら詳しいあらすじをご紹介します。


おかしな手紙が一郎のうちに届きました。

山ねこからの手紙

それはこんな(↑)手紙でした。けれども一郎はうれしくてたまりません。
山猫の顔や、その裁判のようすを思い浮かべながら、その日は眠りにつきました。

次の日の朝、一郎は山に向かいました。
坂をのぼり切ると、にわかに、うつくしい黄金きんいろの草地が目の前に広がりました。
そこに、せいの低い気味の悪い男が立っていました。

男は山猫の馬車別当(御者。馬車を運転する人)でした。
「あのはがきはわしが書いたのだよ」
男が言います。気の毒になった一郎は、文章がうまい、と男にお世辞をいいました。

黄色の着物を着た山猫

風がどうっと吹きました。
「よくいらっしゃいました。どんぐりどものあらそいでこまったことになったので、あなたのお考えをうかがいたいと思ったのです」
黄色い陣羽織を着た山猫が現れました。

足元からは、塩のはぜるような音がしてきます。
それは、三百以上の黄金のどんぐりでした。

自分が偉いと言い合う金色のどんぐり

どんぐりたちは何かを叫んでいます。
「大きいからえらい」「頭がとがっているからえらい」「せいが高いからえらい」
つまりは、「自分がいちばんえらい」と言っています。
山猫がなかなおりをするように言ってもききません。

「どうしたらいいでしょう」
山猫がたずねたので、一郎は答えました。
「このなかでいちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、いちばんえらいといい渡してください。ぼくお説教できいたんです」

それを山猫がどんぐりに伝えると、どんぐりたちはしいんとして堅まってしまいました。

裁判は終わりました。
「ありがとうございました。私の裁判所の名誉判事になって、これからも来てください。」
山猫はさらに一郎に言います。
「呼び出しのはがきの文句は、用事これありに付き、明日みょうにち出頭すべしと書くのはどうでしょう」
その文句はなんだか変だと感じたので、一郎は笑いながら断りました。山猫は残念そうでした。

升に入った金色のどんぐり

「わかりました。今日のお礼は黄金のどんぐり一升と、塩鮭のあたまとどっちをおすきですか」
「黄金のどんぐりがすきです」
「はやく、どんぐりを持ってこい。めっきのどんぐりをまぜてもいい」

手の平の茶色のどんぐり

どんぐりを受け取り、別当の馬車に乗り、一郎は帰りました。
自分の家の前についた時には、黄金のどんぐりは茶いろのどんぐりに変わっていました。

それからあと、山ねこ拝というはがきは、もうきませんでした。出頭すべしと書いてもいいと言えばよかったと、一郎はときどき思うのです。

- 宮沢賢治『どんぐりと山猫』完 -

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まとめと感想

いかがでしたでしょうか。

え!そのどんぐりお礼に使っちゃうの!?

と思わなかったでしょうか…。
というか、私は最初、渡しているのがあのどんぐり達だとピンと来ていませんでした。

お礼とはいえ、どんぐり売買が、受け入れがたかったというか…

「別当は、さっきのどんぐりをますに入れて、はかってさけびました。」と本文にあるので、渡しているのは間違いなくあのどんぐり達です。
さっきまでしゃべってたのに、塩鮭の頭と比べていいんでしょうか…。

このなかで、いちばんえらくなくて、ばかで、めちゃくちゃで、てんでなっていなくて、あたまのつぶれたようなやつが、いちばんえらいのだ。

裁判の結論は大切なことを言っているとは思いますが、これを言っている山猫は偉さにこだわってないの?と思ってしまいます…。これについてそのうち考察しようと思います。

→考察しました!(22年10月10日)
良かったらご覧ください。

宮沢賢治『どんぐりと山猫』解説考察 山猫は満足・ではどんぐりは?

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この記事の「基本情報」の見出し画像の写真で使ったのは、こちらの「てのひら図書館」のシールです。
金色の縁がこのお話の黄色の世界に似合います。
『風の又三郎』もセットです。

ここまでご覧いただきありがとうございました。
今回は宮沢賢治の『どんぐりと山猫』のあらすじをご紹介しました。

こちらでは同じ宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』のあらすじを紹介しているので、良かったらご覧ください。

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