文豪 太宰治の小ネタ・エピソード|好きな物・性格・特技・仕事スタイルなど

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『文豪ストレイドッグス』『文豪とアルケミスト』を筆頭に、文豪をモデルとした作品群はもはやジャンルの1つ。
今回はそこから「現実の文豪本人」に興味を持った人のために、文豪の小ネタとエピソードのご紹介です。

といっても国語便覧風じゃなく、特技・好きな物・普段の様子などちょっとライトなネタのご紹介です

今回は「太宰治」について、奥様の津島美知子さんの書かれた『回想の太宰治』を中心にまとめています。

奥様が執筆した太宰治本

濃やかな愛情と明晰な目がとらえた人間・太宰治ーー太宰治は、文字通り文学のために生まれ、文学のために育ち、文学のために生きた「文学の寵児」だった。彼から文学を取り除くと、そこには嬰児のようなおとなが途方に暮れて立ちつくす姿があった。戦中戦後の10年間、妻であった著者が、共に暮らした日々のさま、友人知人との交流、疎開した青森の思い出など、豊富なエピソードで綴る回想記。(版元ドットコム 紹介より抜粋)
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太宰治 プロフィール

太宰治写真

太宰 治  (だざい おさむ)

1909年6月19日~1948年6月13日(38歳没)

小説家 | 代表作『斜陽 』『人間失格』

左翼活動での挫折後、自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、第二次世界大戦前から戦後にかけて作品を次々に発表。愛人・山崎富栄と入水し、人生の幕を閉じる

見た目・風貌

外見

身長:173~174cmぐらい

足:「日本人としては珍しいくらい下肢の長い彼」(津島美知子さん談)

ほんとに大きな足で、その素足を見ると私は男性だなあと感じた。女性的なといえる面を多く持っている人だったから。

太宰治は当時としては大男です。
身長は本人は171.5cm(五尺六寸五分)と言っています。
けれど、「五尺七寸以上と測定される事もあるが、私はそれを信用しない。」(『服装について』)と付け加えているように、実際はそれよりも大きかったみたいです。

友人の檀一雄(太宰の背丈は、私とほぼ寸分違いなかったから1メートル73,4。)や、芥川龍之介の子供の芥川比呂志の言葉(171cmの私が見上げるような大男)からもそんな気がします。

普段着は和服の着流。
甲府にいる時太宰は近所の女の子たちから

おさむらいさんだ

昔の人だー

とひそひそ言われたことがあったそう。
昔にしては珍しいバランスなので役者さんを想像させた&難しい顔をして歩いていたのかな、と思います。

外見

歯:32歳にしてほとんど無い → 総入れ歯に

唇:「男にしては愛らしい。ひっぱると何倍にも伸びるので『ゴム口』と言って笑った」

スタイルの良さに対して残念なのが歯。小さい三角形の黒い歯しか見えなかったそう。

奥様に言われて歯医者に行くようになったのに、長いことかかって出来た義歯をつけた姿を当の奥様は、

男ぶりが数段増すかと思ったら、白いにょきにょきした義歯が顔になじまない

と思ったりしていて可哀想です。

好きな食べ物・好きな物

太宰治の出身地。津軽地方の位置
食べ物

好きな食べ物:津軽の物・津軽の食べ方

具体的には…蟹・豆腐・ひきわり納豆・若生わかおいのおむすび・筍と新若布が具になった若竹汁 など

たまに郷里から好物が届くと、大の男が有頂天になって喜ぶ

津軽出身の太宰は、出身地の津軽のものが好きでした。

若生のおむすびは炊き立てのご飯を若生わかおいという薄い昆布の間にはさんだ津軽風のもの。
↓ こちらのNHKの番組で紹介されています。

プツッと昆布をかみきって食べるその歯ごたえと自然の塩味が最高とのこと。

東京都飯田橋にある、あおもり北彩館さん(GoogleMap)で若生こんぶを発見したので買ってみました!
40gで550円(2022年11月26日購入)です。

さっそく若生昆布のおむすびにしてみました。ワカメとは明らかに違う昆布の旨味が強くて美味しかったです。これが太宰の味…!
ただ、嚙み切るのがけっこう大変。うまく切れる時とうまく切れない時がある。

太宰は大食漢です。「食通」というエッセイでは

友人の檀一雄などに、食通というのは、大食いの事をいうのだと真面目まじめな顔をして教えて、おでんや等で、豆腐、がんもどき、大根、また豆腐というような順序で際限も無く食べて見せると、檀君は眼を丸くして、君は余程の食通だねえ、と言って感服したものであった。

太宰治『食通』

と、楽しい遊びをしています。

お弁当もいつも飯どきをまたずに食べ始めてしまっていたそうです。

日本酒
煙草・お酒

煙草:「金鵄きんし」という一番安い銘柄。1日に5、6箱

お酒:好き。せっかちに飲む。

金鵄」は元の名前は「ゴールデンバット」。敵性語として第二次世界大戦中に改名されました。
歴史は長く、1906年~2019年まで販売されています。

酒癖は基本的には良く、酒で乱れることは嫌いです。
酒が飽和点に達するとくしゃみを連発し、それ以上飲むと倒れて寝てしまいます。
だけど馴れない場所で初めての人たちと酒を飲むときは、悪酔いすることがあったとのこと。

馴れない場所だと飲み過ぎるのは、気の弱い人の飲み方だと思う…。酒の力を借りる、というやつ。

中原中也のことを嫌いだったのは、その酒癖の悪さが大きな原因でしょう……

湯豆腐

酒の肴はもっぱら湯豆腐。その理由は歯が悪いことと、何丁食べても安いから。

酒屋・煙草屋・豆腐屋が太宰にとって必要不可欠な3つのお店で、太宰によると

豆腐は酒の毒を消す。味噌汁は煙草の毒を消す

らしいです。

得意なこと・趣味

得意

・毛筆で物を書く

・箸の使い方

書くことを生業とする作家らしく、特技は手先を使うことが中心です。

奥様は、太宰が巻紙を使って手紙を書いている様子をこのように書いています。

酒の合間に硯箱や巻紙封筒を出させて、これは下宿にその用意がなかったからであろうが、ちゃぶ台に向かったまま、左掌の上で巻紙を繰り出しながら毛筆を走らせて、私の母なども時折、荷札に宛名を書くときなどその手でやっていたが、私はとしよりの芸当くらいに思っていたので、太宰がよその茶の間で、私どもの面前で、そうして巻紙を下におかずに手紙を書くのを見て、若くても文士というものはさすが違っていると、感服した。

『回想の太宰治』津島美知子 著 (講談社学芸文庫)より
長い手紙のイメージ

太宰と言えば、第三回芥川賞の選考前、川端康成に巻紙5メートルにも渡る泣き落としの手紙を送ったことが有名です。

この巻紙+毛筆の特技から、長い手紙は生まれます

趣味

・基本的には無趣味

・鶏の解剖

驚くニワトリ

太宰はほんとに無趣味な人。趣味は遊びだ、逃避だ、と考えていたよう。

趣味は無かったようです。
ひそかに好きなことは「鶏の解剖
奥様の割烹着を借りて楽しんでいるときの来客には、居留守を使うこともあったそう。
これももしかして「手先が器用」の例…?

ペンネームの由来・仕事スタイル

太宰治というペンネーム

「太宰治」はペンネーム。本名は津島修治です。
「太宰治」の「太宰」は、ペンネームが必要になった時に友人のひとりがパラパラと万葉集をめくり、「太宰はどうだ?」と言ったのでそれでいいということになったよう。
「治」は、本名の「修治」が「オサメ・オサム」とオサムが重なっていることから、一つにしたと語っています。

仕事量

原稿:1日5枚が限度

書く時間:午後3時まで

イメージから破滅的な生活かと思っていたんですが、朝型でしっかりしています。
奥様との結婚後だから安定しているのかもしれません。
書斎で仕事をして、夕方になると奥様に時間を聞き、散歩に出ていたそうです。

太宰治の性格・困った部分

ここまで書くと、太宰治はそのイメージに反して、仕事はきちっとしてお酒はたくさん飲むけど悪い飲み方はせず…といった感じですが、困った部分はいろいろあります。

太宰治・困った性格

・針で刺されたのを、鉄棒で殴られたと感じる人。いつも自分が被害者だと思っている。

・酒食以外にお金を使うことが嫌い。特に家財道具を買ってくれない。ラジオすらない。

・奥さんのお姉さんの遺品の掛け軸を勝手に人にあげた。怒っても謝らずおもしろそうに見ている。

・自分以外の現存作家を褒めると怒る。

・力仕事をしてくれない。

なかなか取り扱いが難しそう…。

ちなみにさっきの項目で、「夕方になると奥様に時間を聞き、散歩に出ていた」理由は、結婚当初、時計は奥様が持っている1つしかなかったから。
太宰が買うのを渋りました。
さすがにお子さんが生まれた時に時計が必要と思って頼んだら、むっちゃ小さくて安いのを買ってきて

一番やすいのをくれって言って買ったんだ

と得意顔に言ったそうです。

奥様のつけたあだ名

そんな太宰治に奥様が心の中でつけたあだ名は

「金の卵を抱いている男」

いつも小説の構想をだいじに抱えて、めんどりが卵を抱えているようにじっと温め、雑用にはまったく手を出さずに小説のことだけを考えている ―— そんな姿からの連想です。

回想の太宰治(講談社文芸文庫)津島美知子 著

その他、『回想の太宰治』には結婚までの過程や愛用品など、一番身近な奥様から見た太宰がいろいろと書かれています

著者の津島美知子さんは、太宰治と結婚する前は地理と歴史の教師でした。
この本には等身大の太宰治の可愛さと、理知的に太宰の作品を考察する両方の眼があります。
奥さまは晩年の入院中も、この本の推敲を重ねて、増補版刊行前にお亡くなりになったそうです。

太宰治の人柄を知る本一冊目としてオススメです。

太宰治の人柄を知る一冊目としてオススメ

奥様が執筆した太宰治本

濃やかな愛情と明晰な目がとらえた人間・太宰治ーー太宰治は、文字通り文学のために生まれ、文学のために育ち、文学のために生きた「文学の寵児」だった。彼から文学を取り除くと、そこには嬰児のようなおとなが途方に暮れて立ちつくす姿があった。戦中戦後の10年間、妻であった著者が、共に暮らした日々のさま、友人知人との交流、疎開した青森の思い出など、豊富なエピソードで綴る回想記。(版元ドットコム 紹介より抜粋)

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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